はじまりのとき

はじまりのとき

久しぶりの自分時間。1日好きなだけ自分のために過ごせる時間。

そんな何よりも贅沢なひと時を存分に楽しむ。

 

朝起きて一杯の白湯に沁みる。

タンパク質を補給してから軽い運動を始めると少しずつ体が目覚めてくる。

そんな感覚を楽しみながら精一杯に体を動かす。

 

最近本当にいいものって何だろうと考える。

私にとっての課題で、服作りをする上で足りない、欠けていると感じるもの。

“本当”とか“本物”がわからないことがコンプレックスに感じていて

服作りが思うように進まない。

頭で考えずに集中した意識の中で自分自身が納得のいくものを作りたくて。

 

今朝、服を作りながら思った。

パターン用紙に引く線、1mmでもずれるとシルエットは変わる。

その中で自分がどのラインだと、好きだ!これだ!この線がいいんだ!と思えるのか。

それは作り続けないと見えないしわからないし、作る以外の環境下でも常に意識を向ける。

ふと街ですれ違ったセンスの良い人、何に惹かれたんだろうと考えてみる。

そんな地道な繰り返しが本物を作り出すのだろうと。

 

そんな感覚は分かっているのに、それでも目の前の作業に集中できないことが多い。

作りたいのに手を動かせないことが多い。何でだろうとまた考える。

出てくる答えはとてもシンプルで、それは何年も変わらない。

その理由はいつまでも自分のことが本当に好きにはなれていないから。

生きることで精一杯な私には心の余裕がない、何かに依存していたくなる。

その依存先が自分を幸せにしてくれる良いものや良い人であればいいのに、

自分を消費することでしか自分を落ち着かせることはできなくて。

そんな満たされない状態の私が作るものを誰に安心して渡せるのだろうかと。

 

痛み、悲しみ、孤独感は人間らしくて好きです。

でも作品にはそれをも乗り越えた真の美しさというか、そういった人間性が表現されたものを

生み出したいと強く思う。

だから技術やセンスはもちろん、それを得る上で、大切な土台となる人間性をまずは育みたい。

そのためにもまず自分を消費する方法ではなくて、ちゃんと自分を好きでいられる場所で、

方法で、人間らしくあり続けよう。

 

私の作品作りはそこから始まる。

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