amadocoro collection - 2023ss

2023ssは、雨に濡れながら凛と咲く一輪の花が頭に浮かびました。

生きることは儚くて切なくて寂しくて、そんな自身の弱さを受け入れながらしなやかに力強く生きたいと思うのです。

雨が降ると寂しい気持ちになります。空は暗くて、寂しさを紛らわせてくれる太陽はどこかへいってしまっていて。

それでも窓を開けてそっと雨音に耳を傾けていると気持ちがすーっとして、癒されてくる。

そんな身近にある自然の優しさに気がつけば、

あたりまえになっていた日常がふと輝き始めて、心がきゅっとなるような喜びを感じてくる。

そんな風景に想いを馳せて、生きることの美しさを描いたコレクションです。

「回想」
雨の香りただよう美しいそら
思わずため息がこぼれ 涙が溢れ出す
あぁ生きていると

雨に濡れ しおれた花が寂しげに咲いている
その花はどこか凛としていた
とても懐かしい気がした

いつもどうして生きるのかと問う
どうしてこんなに寂しいのだろうと

風が吹いた 春の香りがした
思わず目を閉じ 大きく息をすった
日が照って ほほが赤らんだ 
心臓がどくんと鳴った

子どものころ よく蝶を追いかけた
白や黄色 真っ黒で大きいものもいた

何も捕まえられなかった
それでも 蝶を見かけると
追いかけずにはいられなかった

楽しかった 嬉しかった 夢中になった
その記憶がわたしの一番好きなわたしだった

風が吹いた 懐かしい香りに思わず笑みがこぼれた

ただ生きるだけで美しいこの世界はやさしさに溢れていて
そっとわたしを見守ってくれているらしい

designer: Yuu Kousaka
photograph: Yurina Kitaoka
model: Fuki Inoue